三羽烏

ジャイアント馬場、大木金太郎組といえば、当時の日本プロレスではナンバーワン、ナンバースリーのコンビとなる。方や外人陣営のレイ・スチーブンス、クロンダイク・ビル組も来日外人のナンバーワン、ナンバースリーにあたるが、試合結果は意外にも、日本陣営のストレート勝ちとなっている。



『日本プロレス事件史 vol.9 ザ・抗争』(B・B MOOK 1192 週刊プロレススペシャル)。

文字通り、プロレス史に残る抗争の組み合わせを振り返っている。

表紙には、ジャンボ鶴田と天龍源一郎が載っている。これは妥当な組み合わせである。

ジャイアント馬場の「抗争」相手は、大方の予想を裏切って(?)アントニオ猪木ではなく、大木金太郎を設定して書かれている。

大木金太郎は、ジャイアント馬場より年上であり、キャリアも1年上なので、アントニオ猪木ほど露骨にジャイアント馬場に嫉妬しなかった。表面上は……

しかし、年上だからこそ、キャリアも上回るからこそ、負けられないという気持ちは、アントニオ猪木以上に強かったと思われる。昭和プロレス的には興味深い話である。

読み物には、まず、ジャイアント馬場が日本プロレスを退団する際、インターナショナル選手権を持って行こうとした所、大木金太郎が「自分と戦っていけ」と宣言。日本プロレスも馬場対大木の2連戦を組んだ。

今にして思うと、慎重居士のジャイアント馬場にしては、大変軽率な発言だった。

結局、ジャイアント馬場はタイトルをおいていったので、戦いから逃げたという見方をされてしまった。

著者の流智美氏は触れていないが、これは、大木金太郎がジャイアント馬場の設立する新団体(全日本プロレス)に旗揚げ時から参加したかったのに、何らかの理由で交渉がご破算になったことも絡んでいると思われる。

2度目の接点は、日本プロレスが崩壊して、レスラーたちは日本テレビと契約、全日本プロレス預かりとなった時である。

つまり、このときは、日本プロレスから合流した選手たちは、全日本プロレス所属にはしてもらえなかった。

当時の写真を見ても、彼らは全日本プロレスのロゴの入ったジャージは着ていない。

当時、日本プロレスからの合流組をジャイアント馬場は冷遇したといわれたが、要するに彼らは外人と同じゲスト扱いだから、冷遇というより、生え抜きの引き立て役(前座要員)でしかなかったのは当然なのである。

ポスターには、合流した9人のうち、大木金太郎と高千穂明久しか掲載されず、上田馬之助、ミツ・ヒライ、松岡巌鉄などは、全日本プロレスでは1度もメインのリングには上がらなかった。

上田馬之助、松岡巌鉄は、そのことに不満をいだいて、全日本プロレスのリングから離れたとも言われている。

大木金太郎は、試合そのものは後ろのほうで組んでもらったようだが、ジャイアント馬場の意を組んだキラー・コワルスキーなど外人から不穏試合を仕掛けられて「でかいツラするなよ」という圧力があったため、離脱したという説がある。

いずれにしても、本来ならここでジャイアント馬場と大木金太郎は2度とかかわらないのかと思われた。

しかし、事実上2団体の争いだった当時の日本のプロレス界は狭かった。

ジャイアント馬場と大木金太郎は、また相まみえる機会が来るのである。

以後については、また改めて書こう。


試合結果


1968年7月14日
★日本プロレス
サマー・シリーズ
福島県郡山市 開成山球場
・タッグマッチ(60分3本勝負)
ジャイアント馬場/キムイル大木金太郎
(2-0)
レイ・スチーブンス/クロンダイク・ビル
  1. 日本組(反則 12分45秒)外人組
  2. 馬場(体固め 5分22秒)ビル

東北・北海道巡業の始まりは郡山大会から。

この日は、今サマーシリーズ地方巡業としては、初めて6人タッグではないカードだった。

1本目は日本陣営の反則勝ち。2本目はジャイアント馬場がクロンダイク・ビルを順当に押さえてストレート勝ちをした。

これは意外である。

なぜなら、外人陣営のエース格であるレイ・スチーブンスと、今シリーズは徹底プッシュされてアジアタッグ選手権もとっているクロンダイク・ビルのコンビである。

本来なら、日本陣営、外人陣営とも、ナンバーワンとナンバースリーのコンビによるタッグマッチであるから、もっと接戦になっても良かったのではないか。

それが、日本陣営のストレート勝ち。

これは不可解である。

もしかしたら、本当はもっと好勝負にしたかったのに、クロンダイク・ビルがしょっぱくて、勝手にこけてしまったのかもしれない。

もしくは、第3回ワールドリーグ戦におけるグレート・アントニオではないが、実力以上にプッシュしてもらって調子に乗らないようにしたのかもしれない。

虚実ないまぜの昭和プロレスらしい、予定調和的でないスコアである。

もっとも、1本目が「反則」となっているので、ここで外人陣営が大暴れしているのかもしれないから、実際の試合を見ないとなんとも言えないところなのだが……。

日本プロレス事件史 vol.9 ザ・抗争 (B・B MOOK 1192 週刊プロレススペシャル)

日本プロレス事件史 vol.9 ザ・抗争 (B・B MOOK 1192 週刊プロレススペシャル)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ベースボールマガジン社
  • 発売日: 2015/05/16
  • メディア: ムック

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