ジャイアント馬場と大木金太郎

三羽烏、といえばジャイアント馬場、アントニオ猪木、大木金太郎のことを指すのは昭和プロレスの常識であるが、その三羽烏がメインで6人タッグを組んだ。普通はこの3人が全員組んでしまうとセミ以下の前座が手薄になってしまうのだが、アジアタッグを取られてしまい、これ以上、外人組を調子づかせないために、必勝トリオで臨んだ……というのはもちろん昭和プロレス的解釈である(笑)

まあ、6人タッグだから、しょせん地方の売り興行の顔見世的試合にすぎないのだが、それにしても、三羽烏のトリオでカードを組めば、6人タッグとしては日本陣営最強トリオということになるのかもしれない。

外人トリオも、レイ・スチーブンス、スカル・マーフィーというエースコンビに加えて、この試合ではジノ・ブリットが加わっている。

その意味では、かなり濃いメンバーである。

しかし、このシリーズは、選手権試合を除くと、6人タッグマッチがいつもメインである。

7月で蒸し暑いから、選手の負担を考えたのだろうか。

ジャイアント馬場とアントニオ猪木と大木金太郎は、よく、プロレスならジャイアント馬場、シュートならアントニオ猪木、ケンカなら大木金太郎といわれる。

3人に密室でシュートマッチをやらせた結果がその根拠と言われているが、本当にそんな「試合」をさせたのかどうかもそもそも定かではない。

ジャイアント馬場は、入門してから1年もたたないうちに渡米してしまったし、本格帰国した時は、すでにアメリカで実績を積み、力道山には外貨も用立てていた。

ロスでしか通用しないローカルレスラーの力道山にとって、ジャイアント馬場は、レスラーとしても、金銭的にも気を使わなければいけない相手になってしまっていた。

かりに、そんな密室マッチが本当にあって、ジャイアント馬場が最初に敗退したとしても、すでにその時点でのジャイアント馬場にとっては、さして痛痒を感じないことだったと思う。

櫻井康雄にいわせると、力道山は、ジャイアント馬場のことを「あれはバケモノだから(見世物レスラーとしてやってくくれば後は多くを望まない)」として、ジャイアント馬場をあまり叱らず、アスリートとしての素質を上回るアントニオ猪木を叱ったというが、それを額面通り受け止める桜井康雄もおかしい。

もしそれが事実だとすれば、そこから伺うべきは、馬場猪木の比較論よりも、力道山の嫉妬である。


レスラーなんて、しょせん普通の人ではない異形を売り物にしているパフォーマーであり、力道山もそれを知っているから、意識的に切れたり、コップをかじったりしていたのである。

その意味では、ジャイアント馬場のレスラーとしての素質は十分であり、だからこそ、本場アメリカでは、力動山など問題にならない売れっ子となったのである。

そして、力道山は、それに嫉妬していたから、「バケモノ」などと、言うしかなかったのである。

さらに、アントニオ猪木に素質があるから「叱った」というより、素質があるから「嫉妬した」のである。

馬場嫌いの桜井康雄は、馬場に肯定的な意見はすべて「馬場信者」と決めつけるが、実は櫻井康雄も、その反対側の立場にいるだけで、判断には合理性を欠いているのである。

それはともかく、試合である。

馬場、猪木、大木の"三羽烏"がトリオでシリーズ初登場。対する外人側はスチーブンス、マーフィーとエース格にブリットが加わったトリオである。

1968年7月10日
★日本プロレス
サマー・シリーズ
青梅市青梅ボーリング場横広場
・6人タッグマッチ(60分3本勝負)
ジャイアント馬場/アントニオ猪木/キム・イル大木金太郎
(2-1)
レイ・スチーブンス/スカル・マーフィ/ジノ・ブリット
  1. スチーブンス(体固め 12分41秒)猪木
  2. 馬場(片エビ固め 4分51秒)ブリット
  3. 猪木(アバラ折り 5分28秒)スチーブンス

1本目はスチーブンスが猪木から先制したが、2本目は馬場がそつなくブリットをフォール。3本目は猪木がスチーブンスに雪辱し、トータル2対1で勝利した。
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